私に出来る事

一昨日の不可解な腹痛の原因が分かった。塾に行く頃に急に下痢になり、いつの間にか治った不思議な腹痛。そのヒントをくれたのは、母が結婚前からお世話になっている観音堂の先生…のような人。彼女の話の中で母の祖父、つまり私のひいおじいさんの存在が浮かび上がった。
私の曾祖父は実業家で、今のウチの生活レベルでは想像もつかないほどの財を築いた偉大な人だそうだ。老年、彼は腸を患い命の危機に瀕したが、九大病院での大手術で何とか一命を取り留めることが出来た。しかし、曾祖母が腸に効くと人づてに聞いて手に入れた、ヤマゴボウの生汁を飲んだ事が彼の人生を狂わせる。健康な曾祖母がお猪口一杯飲んで、酷い下痢や腹痛の大騒ぎ。術後の人間がそれを三杯飲んで、無事であるはずがない。享年60歳、母が二歳の頃の事だった。私は今日初めてこの話を知った。
一昨日感じた腹痛や下痢、そして筆舌しがたい無念さや悔しさ、不甲斐なさ等が入り混じった複雑な感情。これがなければ曾祖父の事など、知る由はなかっただろう。一昨日感じた物は、そのまま曾祖父の感じた物に通じる物がある。曾祖父が自分の存在や想いを知って欲しかったのかもしれない。
夢半ばにして倒れた人は沢山いる。祖母の急死も、誰も想像していなかった。おそらく祖母自身も。一昨日感じた複雑な感情、あれを失くす事が出来れば、どんなに幸せな事か。私は翌日塾に行く事で失くす事が出来たが、死んだ人間はそうはいかない。その思いを遂げるのは、生きた子孫くらいなものだろう。先祖の想いや夢は、子孫の誰かが引継ぎ、それを成就させねばならない…と思う。曾祖父の為、祖母の為、私は努力し続けるつもりだ。